理事長所信2021

第50代理事長 東山 卓

はじめに

人生を豊かにするものは人との出逢いである。

人は一人では生きて行けません。
人はこの世に生を受けたその日から多くの 人と携わり、交わる事で日々成長し続けているのです。
人との出逢いは かけがいのない財産となり、その刺激は大人になり生涯を閉じるその日まで 続くのだと考えております。
私はこのまちに生まれ、このまちで育ちました。
地元に生まれ、商業を営 みながら多くの地域諸団体に所属し、地域活動に積極的に取り組んでいた 父の影響もあり、地域と そこに携わる「人」に育てて頂きました。
幼少の頃から 地域活動 へ家族で参加 することで、早くから地域の方々との接点を持てた事が私の人生へ大きな影響を与えています。

様々な世代の方や異業種の方との出逢いは新たな視点や考え方、そして多種多様な人とのコミュニケーションを通じて人を成長させます。武蔵野青年会議所の大きな特徴として市外在住のメンバーや市外在勤者が過半数を占めている点があり、それはウィークポイントではなく多様な考え方の人との交流や出逢いに恵まれているとも考えられます。
この利点をより 活かしさらなる大きな輪を作り、その輪を活かして地域へ広げて参ります。

2020年は新型コロナウイルス 感染症 の猛威に見舞われた1年となりました。
その影響は世界中を取巻くものとなり、とりわけ我々の住み暮らす東京都では特に甚大な経済打撃もあり青年会議所メンバーも例外ではありませんでした。
しかし、そんな中でも常に前を向き未来を見据えて率先して行動をする各地会員会議所メンバーの運動を見聞きする度に思い出す言葉がありました。

「やれない言い訳を 考える前に、やれる方法を考えろ。」

この言葉は 私が20代の頃にとある先輩に言われて胸に突き刺さり、今でも心に留めている大切な言葉となり、私が理事長職をお預かりする決断に至った言葉でもあります。
新しい生活様式の中で働き方も変化し、様々な業種で在宅ワークとなり、会議や事業は WEBが導入され急速なオンライン化 が進みました。

その一方で従来の手法では実現が難しく、やむを得ず中止となる催し事が各地で決断されました。
正しい対策をし、正しく恐れ、誰もが二の足を踏んでしまうそんな時だからこそ、我々JAYCEE こそが立ち上がり、常に一歩前へ踏み出し、様々な方と共鳴し、地域の課題や願いに呼応する存在でなければならないのです。

取り巻く環境とその影響

現在も余波の続く新型コロナウイルス感染症は隣国である中国湖北省武漢市で発症し、2020年1月16日に日本国内で初症例が確認されて以降、2月中旬より連日マスメディアで報道される日々が始まりました。

その影響は計り知れるものではなく、2020年は日本そして世界中206の国と地域からの参加が予定されていた世界平和の祭典でもある2020東京オリンピック・パラリンピックが開催される予定でありましたが、3月24日IOCと日本合意により史上初の1年延期の発表がなされました。

その後ついに日本の歴史上4回目となる緊急事態宣言が発出され、不要不急の外出自粛が要請された事により国内経済は大きな影響を受け、国や各地自治体から法人、個人へ向けて給付金や補助金制度も緊急対策として設けられました。

しかしながら、大きな打撃を受けた経済社会においては緊急対策制度だけでは解決できず、多くの方が苦境に立ち、内閣府が8月に発表した4月から6月までのGDP値の年率換算では27.6%減と戦後最大の下落幅を記録し経済打撃の大きさを改めて感じる出来事でありました。

経済以外の分野でも国内では春の選抜に続き夏の甲子園の中止も決まり、その他多くの諸大会の中止発表へ繋がる事となりました。

我々青年会議所運動も例外ではなく、37年の歴史を刻んで参りました「わんぱく相撲武蔵野場所」の開催も断腸の思いで中止の決断をする事となり、さらには公益社団法人日本青年会議所関東地区東京ブロック協議会最大の運動発信の場でもある、第49回東京ブロック大会調布大会も残念ながら中止の判断へと至りました。

緊急事態宣言こそ5月25日に解除されましたが、国内が経済の回復を目指す時期と梅雨が重なり、近年例のない長雨に見舞われ豪雨災害として国内各所で甚大な被害が発生してしまい、梅雨が明けた8月初旬からは歴史的猛暑日が続き熱中症による搬送者も激増し、新型コロナウイルス感染症と共に医療関係機関の逼迫に拍車を掛ける状況となってしまいました。

しかしながら、時期を追う毎に各所で新しい生活様式が浸透し、一人一人の意識が高まった事で一定の歯止めを掛け、一歩一歩日常の生活を取り戻しに進めたのは我々日本人の有事に対する適応力の高さを感じるところでありました。

地域を理解し地域に必要とされる団体へ

我々武蔵野青年会議所は2022年に創立50周年を迎えます。

半世紀の間様々な形で運動発信を続けて参りましたが、常に時代は流れ、刻々と変化が求められております。

まずは、青年経済人の集う集団組織として、集団行動の基礎から改めて学び組織の円滑な運営体制を整える研修事業を行います。

そして、現在置かれている国難とも言える苦境を乗り越えて行く為には、各種団体個々の力だけでなく、互いに手を取り合い相互理解の上で共鳴し合う事でより強い発信力とし、私たち武蔵野青年会議所の運動を、地域の皆様の心へ響かせ呼応して頂ける関係構築が必要だと考えます。

又、青年会議所独自の活動の域に留まる事なく積極的に地域へ出て、大海を知る事が大切な事でもあります。

その中でより幅広い視野を持ち、互いの歴史と利点を生かして人と人の繋がりの重要性を理解する事業を本年開催し、2022年に開催を予定しております東京ブロック大会武蔵野大会へ向けて盤石な体制作りを致します。

私たちの住み暮らす武蔵野市は多摩地区の中でも成熟した都市と言われるまちとなりました。

困窮する地域に刺激を与える事よりも、豊かな地域に刺激を与える事は非常に難しいと言われておりますが、有事の際は多くの方が新たな機会や情報を受け入れ易く、私たちが事業を展開し地域の皆様へ向けて運動発信をして行く土壌としてはチャンスとも捉える事が出来ます。

そこで、地域関係諸団体のご協力を要請し、手を取り合い、より広いエリアの活用と市内在住者や、市外からの来街者も含め、より多くの方々に武蔵野市の魅力を知って頂き、私たちの運動や存在意義を感じて頂ける事業の開催を致します。

武蔵野市は東西に3駅を有し、取り分け吉祥寺地域が着目される事が多くありますが、実際には「商業」「自然・文化」「住居地域」とそれぞれの駅が3つの特徴を持ち、上手くバランスの取れた地域であります。

この武蔵野市の特性を理解した上で地域の魅力を伝える運動発信をし、対外へより周知する事で私たちの考える武蔵野市の魅力が未来へと受け継がれて行くのです。

未来をつくる子供達の為に

日本の出生率は4年連続で下落の一途を辿っており昨年発表の合計特殊出生率は1.36となり生まれた子どもの数は統計開始以降過去最低の86万5234人に留まり政府が予測する数値を下回る少子化の加速がみられました。

私たちが子どもの頃は走り回れる環境も多く、外で遊ぶ経験が多くありましたが、情報技術の革新により環境も変わり、現代の子どもたちの多くは屋内の遊びに転じている傾向があります。

未来へのバトンを繋いでくれるのは子どもたちであります。

その地域の子どもたちへ向けて道徳心や相手を思いやる気持ち、そしてインドアの機会が増える現代にアウトドアで心から楽しむ機会として、スポーツ事業を通して日本人が古来から紡ぎ続けて来た「心・技・体」の精神を地域の青少年だけでなく、保護者の方々を含めて培う事が出来る事業を開催し、交流をする事で互いに地域に必要な存在である事を再認識出来る場と致します。

又、本年はオリンピック・パラリンピックが1964年以来57年ぶりに東京の地で開催されます。

様々な競技のトップアスリートの姿を身近に感じる機会は求めても手に入らない貴重な機会であり、その姿は子どもたちに夢を持つ事の重要性と夢に向かってひた向きに努力を重ねる事で未来が開けるという事を知る非常に大切な機会になると考えております。

この事を子どもたちに伝える為に、心と身体の成長を促す事業の開催を目指します。

子どもたちはまちの宝であり、未来をつくる存在でもあり、地域と共に私たちも子どもたちの成長を促し、私たちのまちの未来を支える青少年を育て、見守る事が明るい豊かな社会を築き上げる事にも繋がるのです。

志同じうする者

私たち青年会議所は世界中128の国と地域に存在し、国内には692のLOMと呼ばれる各地会員会議所が存在します。

かつて幾度も発生した有事の際には全国のメンバーが各地で活躍をする姿があり本当に心強い仲間であります。

武蔵野青年会議所は公益社団法人日本青年会議所関東地区東京ブロック協議会に所属しております。

その中でも近隣青年会議所とはいついかなる時も即時手を取り合える関係構築と交流の為に、互いの特性を生かした共同事業の開催を行います。

さらに、我々武蔵野青年会議所最大の理解者でもあり、長い歴史を紡いで来て下さった先輩諸兄姉と共に過去を知り現代を鑑み、そして明るい豊かな未来へと繋ぐ為に交流事業の開催を行います。

全てのものごとには礎があり、1972年に強い想いと計り知れない努力の上で全国510番目のLOMとして武蔵野青年会議所が誕生しました。

その歴史を刻み私たちにバトンを繋いで下さった先人である先輩諸兄姉と共に事業を開催し、より深い関係性を構築して参ります。

新たな仲間と会員の醸成

青年会議所には満40歳を迎える年に定年卒業制度があります。

これは一つの区切りで あり、卒業後は様々なステージでリーダーとして活躍出来る存在となり、更なる飛躍を遂げる人財に育つ事が求められています。

その一方で毎年必ず卒業生を輩出するという事は、卒業生数以上の新規会員の獲得をし続けて行かなければ会員数の減少に繋がってしまいます。

2020年度は21名の卒業生を送り出し、昨年よりも少数での船出となりました。

数は力であり、運動発信の原動力とする為にも会員数の維持・拡大は毎年の課題でもあります。

昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で一部例会事業の中止や、会議のWEB化を余儀なくされ、運動発信の形の変化や対面での機会が大きく制限された事から新規会員を迎え入れる機会も大きく減少してしまいました。

しかし、悲観的な視点だけではなく、形は変われど、有事の際にも常に足を止める事なく運動発信をしていたのも事実であり、その姿に感銘を受け、ご入会頂けたメンバーや、興味を示して頂けている方々もおられます。

私たちはいつの時代も常に現代を生きる青年世代の若い息吹を新たに吹き込んで今日まで歴史を刻んで参りました。

本年は例年に増して新しい仲間の加入を促し、より多くの仲間を増やし50周年へ向けて人財育成をして参ります。

近年、武蔵野青年会議所は残念ながら退会者数が東京ブロック協議会内でも高い水準となっております。

青年会議所が掲げる「修練・奉仕・友情」の三信条を伝える事も会員との携わりがなければ難しく、如何にして大切な時間を我々に割いて頂けるか、共に運動する事で心情変化を与えられるかが重要になります。

この課題を解決する為には、年初から受動的でなく能動的に動き、相手を思いやる気持ちを持てる会員意識の醸成を図る事業を開催し、会員意識の醸成を図り退会者の減少にも強い注力をして参ります。

対内の強化がなければ対外に対する影響力は磨かれず、本年の経験を活かし未来の武蔵野青年会議所のさらなる飛躍を目指す為の事業を開催し、脈々と受け継がれてきた伝統と新しい時代を融合させ日々刻々と進化し続ける現代に併せ誰一人取り残す事のない青年会議所の土壌をつくり出します。

能動的な発信

己の強みと己の弱みを理解する事が次なるステップの最初の1段である。

近年の武蔵野青年会議所では事業開催の告知や団体告知を行う際に広報チラシの作成の他、HP掲載、SNSの活用などと広報の幅を広げて参りました。

しかしその一方で、それぞれを有効に活用し本来目指すターゲットの元へ情報を行き届ける事が叶わず、良い結果を生み出せていない現実がありました。

常に時代を先読み、より広く広報出来る仕組みづくりは急務であります。

広報分野は対外へと発信する立ち位置であり、本年の広報は会員拡大と強く結びつきを持たせる組織形態とさせて頂きました。

過去に捕らわれず柔軟な発想でより有効な広報戦略を実現させる為に、対外発信の仕組みと広報力の強化を目指して参ります。

又、幅広い世代へ情報を行き届かせる為には無機質な媒体だけでは成し得ません。その為には会員のご家族・友人知人・そして武蔵野青年会議所を理解し支えて下さっております先輩諸兄姉の力をお借りする事で直接的な発信力となります。

私たちの活動を知り、さらなるご理解とご協力を頂ける様、交流の場を持つ事でより強固な絆の構築を目指して参ります。

結びに

武蔵野青年会議所は2022年度に創立50周年を迎えます。

2021年度はその50周年へ向けてメンバーの育成と共に、より地域に根差し必要とされる団体へと昇華すべき大切な1年となります。

この地を愛する方々と共鳴し、共に成長する事で明るい豊な社会づくりを行って参ります。

そして、創立以来多くの先輩諸兄姉の血と汗と涙の上に脈々と受け継がれて来た武蔵野青年会議所を全ての方に胸を張って見せられる様に、今を生きる私たちこそが今一度心を一つに邁進して行く事をお約束させて頂きます。

 
 2021年度 スローガン
 共鳴呼応
 ~共に想い、共に成長し、明るい豊かな未来を~
  
 2021年度 基本理念
  共に響き合い、高めあうJAYCEEへ 
  
 2021年度 基本方針
 人と人の繋がりの重要性を理解する事業構築
 未来を支える青少年育成
 地域の魅力を伝える運動発信
 会員意識の醸成を図る組織運営